廃棄物の処理及び清掃に関す法律(以下、廃棄物処理法)という法律をご存じでしょうか?
ゴミは捨てるにもルールがあり、それを運搬、処分するまで様々なルールが定められています。
ここでは他人が排出したごみ(産業廃棄物)を処理施設まで運搬する、いわゆる収集運搬業について説明したいと思います。
廃棄物の種類
廃棄物は大きく分けて“生活系廃棄物”と“事業系廃棄物”に分けられます。
そして、事業系廃棄物は“産業廃棄物”と“産業廃棄物以外の廃棄物(一般廃棄物)”に分けられます。
また、産業廃棄物・一般廃棄物ともに爆発性や毒性、感染性など危険度の高いものについては特別管理産業廃棄物・特別管理一般廃棄物として通常とは異なる基準での取り扱いが求められています。
収集運搬業と処分業
廃棄物に関する事業として、排出場所から処分場までの運搬を行う事業と、処理を行う処分業とに分かれます。
さらに運搬業に関して、排出場所から処分場へ直行する“積替え保管を含まない運搬業”とプラントに一時保管を行ったり、別の運搬車両に積み替えて運搬するなどを行う“積替え保管を含む運搬業”に分けられます。
処理業に関しても、中間処理と最終処理に分けられています。
マニフェスト伝票(産業廃棄物管理票)とは
産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合、管理票を交付します。
これは、排出から処分に至るまでの過程を記録し、適正に処理されていることを確認するための制度です。
近年は電子マニフェストとして、情報処理センターを介したネットワーク内でやり取りすることもあります。
産業廃棄物収集運搬業が必要な場合とは
産業廃棄物収集運搬業とは、排出場所から処分場までの運搬を請け負う場合に必要となります。
したがって、自分が排出事業者の場合は自分で運搬しても問題ありません。
ただし、ご自身が排出事業者に当たるかどうかは十分にご注意ください。
特に下請けとして工事現場に入られている方は、ご自身の作業によって排出された産業廃棄物であっても、排出事業者は元請けとなり、運搬する場合は許可がいります。(もちろんマニフェストも)
産業廃棄物収集運搬業許可(積替え保管を含まない)の申請方法
(1)産業廃棄物収集運搬業許可の申請先
産業廃棄物収集運搬業許可は都道府県または政令市(大阪府では、大阪市、堺市、東大阪市、高槻市、豊中市、枚方市、八尾市、寝屋川市、吹田市が該当)が申請先です。
政令市に関しては、事業を行う範囲がその管轄区域内のみの場合であって、区域を超える場合は都道府県の許可となります。(例、排出場所も処理場も大阪市内のみ→大阪市の許可)
なお、都道府県によっては土木事務所を経由することもありますので、どこに申請するべきかは各都道府県手引きで確認が必要です。
(2)許可の条件
①運搬車や容器など必要な施設がある
- 産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
- 石綿含有産業廃棄物は破砕することのないような運搬方法をとり、他の廃棄物と混合しないよう、区分して運搬すること。
- 水銀使用製品産業廃棄物は破砕することのないような運搬方法をとり、他の廃棄物と混合しないよう、区分して運搬すること。
- 水銀含有ばいじん等は、運搬中に揮発した水銀が運搬容器又は梱包から漏れることのないような措置をとり、高湿にさらされないよう運搬すること。
※車両の形状や用途制限等によって運搬できる産業廃棄物の種類が異なります。
②産業廃棄鬱処理業の許可申請に関する講習会の受講及び修了
申請書の添付書類の1つに講習会の修了証というものがあります。
講習会は公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターで実施され、受講後の試験に合格すると修了証が発行されます。
③経理的基礎
申請者が事業を的確にかつ継続して行うことができるだけの経理的基礎(簡単に言うと資金力)があること。
債務超過(持っている資産で負債を返済しきれない状態)など財務状況に問題がある場合は追加資料等を提出するなどが必要となります。
④欠格要件に該当しないこと
- 法第7条第5項第4号イからチまでのいずれかに該当する者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人がイ又はロのいずれかに該当するもの
- 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの
- 個人で政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
(3)必要書類等(大阪府)
(4)審査期間
申請先(都道府県、政令市など)によって異なります。
大阪府の場合は、原則として60日となっていますが、一部異なる場合もあります。
また、兵庫県の場合は標準処理期間が45日となっていますが、閉庁日を除くため約2か月程度となります。しかし、申請書を提出する県民局によっても異なり、3か月以上の期間を要する場合もあります。
まとめ
積み替え保管のない収集運搬業の申請はそれほど難しくはありません。しかし、うっかりと法令に違反してしまうことで処分を受ける可能性もありますので、手引きはもちろん、法令を参照するなど十分にお気を付けくださいね。
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