職域国保をご存じでしょうか?
あまり聞きなれない言葉ですよね。
そもそも健康保険は大きく分けると国民健康保険と健康保険(社会保険)に分けられます。
いずれも基本的に収入によって保険料が変わり、高収入ほど保険料も高くなっています。
職域国保とは
一般に病院で提示する保険証は市区町村が発行する国民健康保険か協会けんぽの健康保険が多いと思います。
しかし、中には国民健康保険ではあるが、市区町村以外の健康保険組合が発行する職域国保というものがあります。
例えば病院関係者を対象とした医師国保、税理士または税理士事務所の従業員を対象とした税理士国保、建設業関係者を対象とした建設国保、その他理容師・美容師を対象としたものや食品の製造・加工・調理などの業務に従事する方向けのものなどがあります。
これらは自営業かつ職業によって加入資格が分かれますので職域国保と呼ばれたりするのですが、一般的な国民健康保険とどのように違うのでしょうか?
結論から言うと、保険料や給付・手当金等の制度、独自の福利厚生プログラムなど組合によって全く異なります。
保険料
まずは保険料に注目いただきたい。
冒頭でも書きましたが、国民健康保険も協会けんぽの健康保険も収入に応じて保険料が決まります。
しかし、職域保険の中には収入額に関係なく、一定額とされているものも少なくありません。
つまり、高収入な方ほど職域国保の方が保険料が安かったりします。
例えば月収50万円の場合(令和4年大阪府の場合)
協会けんぽの健康保険 → 51,100円(会社・被保険者それぞれが25,550円負担)
全国建設工事業国民健康保険組合の国保 → 18,900円
※建設国保は30歳以上40歳未満の加入者1人の場合です。建設国保は国保なので家族など加入者が増えると保険料が増えます。また、年齢によっても保険料が異なりますので正確な金額はHPで確認してください。
扶養家族の人数や給与額によっては健康保険の方が安くなる場合もありますので実際にはどちらが良いかは個別に計算してください。
法人設立後でも職域国保に加入できるのか?
職域国保は原則として法人での新規加入はできません。
株式会社や合同会社などの法人は全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険に加入します。(大企業等で独自の健康保険組合を有する場合を除く)
しかし、一部の職域国保は法人成りの場合は継続できることもあります。
先の建設国保の場合ですが、”全国建設工事業国民健康保険組合”の場合は法人化後も継続が可能です。(令和4年6月現在、法人化後も継続するためには条件があります。)
同じ建設国保でも”建設連合国民健康保険組合”の建設国保は法人化後の継続ができません。
もちろん法人化後の継続だけで組合の優劣が決まるわけではありません。
保険料や給付、その他の制度など総合的に選んでいただければいいとは思いますが、法人化後の健康保険の適用除外は対象の組合でないとできないことはご注意ください。
なお、職域国保を継続した場合でも、厚生年金には加入が必要となります。
最後に
個人事業から株式会社や合同会社などの法人成りする場合、手続きや届出、制度など色々と複雑になります。
法人設立に関しては手続きや届出だけでなく、こういった事務関係の注意点や事前に準備しておくほうが良いことなど総合的に相談できる専門家に話を聞いておくことをお勧めします。
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