皆さん、社会保険について正しく理解できていますか?
実は社会保険ってあいまいな言葉なんですよね。
広い意味の社会保険では 国民健康保険や国民年金、健康保険や厚生年金、労災保険、雇用保険をまとめて社会保険と言いますし、狭義の社会保険では健康保険と厚生年金保険、介護保険を指します。
また、社会保険と思われているサラリーマン等が加入する医療保険は正確には“健康保険”といいます。(なお、自営業者等が加入する医療保険は国民健康保険といい、まったく別の制度です)
このようになんとなく使っているけど正確な意味を問われると分かりにくい社会保険ですが、今回は狭義の社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険)について説明したいと思います。
適用事業所
事業を経営している人がすべて社会保険制度に加入するかというとそうではありません。
個人事業で従業員が少ない事業所(人数は業種によります)は加入の義務はなく、この場合は従業員も保険料を天引きされません。(その代わり、自身で国民健康保険と国民年金を納付する必要があります。)
対して法人や一定以上の従業員を雇用する個人事業主のように必ず加入しなければならない事業所を強制適用事業所と言います。
また、強制適用事業所以外であっても一定の要件のもと申請することで適用事業所となる事業所を任意適用事業所と言います。
なお、似たような制度であれ労働保険(労災保険、雇用保険)のうち、労災保険については従業員を雇用する事業所は金額の多少にかかわらず必ず加入する必要があります。
社会保険料の負担
加入義務のない個人事業所に勤務されている場合を除き、企業にお勤めの方は給料から健康保険と厚生年金保険、介護保険、雇用保険料が天引きされていると思います。
「高いなぁ」と感じている方も多いのではないでしょうか?
健康保険料と厚生年金保険料、介護保険の3つだけでも給料の15%程度が天引きされますので額面30万円の給与でも手取りでは25万円少しということになりますね。
私もサラリーマン時代はこの額を不満に思っていました。
ところが、これらは労使で折半していて、皆さんが天引きされている額とほぼ同額を会社も負担しているんです。
社会保険の保険料
上記の保険料額表のとおり、額面30万円の給料とすると、
従業員は
300,000-(健康保険(介護保険含む)17,790+厚生年金保険27,450)=254,760円
一方会社としては
300,000+(健康保険(介護保険含む)17,790+厚生年金保険27,450)=345,240円
つまり、会社としては従業員を雇うのに合計で345,240円必要なんですよね。
従業員は手取りが少なくて、「給料少ないなぁ」と感じますし、会社としては、「人件費高いなぁ」となります。
なお、従業員の手取り額についてはさらに源泉所得税と特別徴収住民税も天引きされます。
社会保険のメリット
国民健康保険は国保に加入している人数によって保険料が変わります。また、加入者の収入の合計によっても保険料は異なります。
それに対して社会保険には扶養制度があります。
これは被保険者(社会保険料を払っている従業員等)の家族であって、一定の要件に該当する場合は追加の保険料を払うことなく健康保険が適用されます。
つまり、健康保険の場合は扶養家族が多くても保険料は増額されません。
また、健康保険には国民健康保険にない手当金(出産手当金や傷病手当金)などもあり、手厚くなってます。
まとめ
社会保険は会社としては人件費の負担増、従業員としては手取り額の減と一見あまりありがたくない制度に思えますが、従業員としては条件によっては国民健康保険と国民年金の組み合わせよりも保険料が安い場合もありますし、何より、保険料の半分を会社が負担してくれています。
雇う側としては負担が増えますが、従業員の福利厚生や待遇を良くすることで人材の確保や定着率の向上に効果を期待できます。(実際に社会保険の整備がされていることを就職先の条件としている若者も増えてきているようです)
どちらにしても強制適用の場合は避けることはできませんので、この制度を踏まえたうえで事業計画や家計計画を検討する必要がありますね。
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